この記事は『脳からストレスを消す技術』についての書評です。

『脳からストレスを消す技術』は、有田秀穂さんの著書。

2012年にサンマーク出版から出版されました。

ストレスの多い生活を送っていて、なんとかしたいと考えている方におすすめの書籍です。

本の3行紹介

セロトニン研究の第一人者である有田秀穂さんの著書。

脳がストレスを感じる仕組みを解説した上で、どうすれば効果的にストレスを解消することができるのか、ということについて医学的に教えてくれます

文庫本で持ち運びやすいので、紙の本でも通勤通学の合間に読みやすい本です。

本の目次
  • 第1章 ストレスはすべて「脳」が感じている
  • 第2章 人生の質を決定づける「三つの脳」
  • 第3章 一日五分でできるセロトニントレーニング
  • 第4章 どうして涙を流すとスッキリするのか
  • 第5章 最大の癒しは共感脳が与えてくれる

個人的な2つの学び

本書を読んで得た、個人的な学びポイントを2つまとめます。

セロトニン神経の5つの働き

ストレス解消にはセロトニンが大事とは最近よく聞きますが、実際の効能はあまり詳しくは知られていないかもしれません。

本書では、セロトニンの働きについて5つ挙げています。

セロトニンの働き
  • クールな覚醒をもたらす
    • 大脳皮質の活動を適度に抑えながら、その働きを高いレベルで維持する
    • 人間にとって理想的な覚醒状態をもたらしてくれる
  • 平常心を維持する
    • 心の状態を整えてくれる
  • 交感神経を適度に興奮させる
    • 寝ているときの心拍数は1分間に50回程度しかないが、目覚めると70~80回くらいまで上昇する
    • これはセロトニンの働きによるもの
  • 痛みを軽減する
    • セロトニンは脳内で鎮痛剤の役目を果たす
    • 逆に、ちょっとした怪我でひどく痛みを感じる人は、セロトニン神経が弱っている可能性がある
  • よい姿勢を維持する
    • セロトニン神経は、「抗重力筋」につながる運動神経に直接刺激を与えている
    • セロトニンが弱ると「抗重力筋」の緊張も弱まるので、きちんとした姿勢を維持しにくくなる

個人的に一番びっくりしたのは、抗重力筋に関するお話です。

「抗重力筋」とは、姿勢を維持するのに重要な、重力に逆らって働く筋肉のこと。

首筋、背骨の周りを支える筋肉や下肢の筋肉、そして瞼や顔の筋肉も「抗重力筋」に含まれるそうで、セロトニンが弱るとシワができたり弛んだりするのだとか…。

セロトニンは大事ですね。

セロトニンを活性化させる2つの方法

本書では、セロトニンを活性化させる方法を2つ紹介しています。

セロトニンを活性化させる方法
  • 太陽の光
    • 最も効果的なのは、太陽の光を30分程度浴びること
    • 太陽光をしっかり浴びることで十分な量のセロトニンが作られる
  • リズム運動
    • 最低5分間行えば、脳の中でセロトニン神経が活性化し、セロトニンの放出量が増える
    • リズム運動を行う時間は、長くても30分程度でOK。長くやったからといって、それだけ多くのセロトニンが出るわけではない

リズム運動についてですが、しっかりとした運動ではなくても大丈夫だそうです。

散歩や咀嚼、呼吸なども、意識して行えばリズム運動になるとのことなので、自分にできる範囲で取り入れていくのが良さそうでした。

感想

ストレスを感じる理由とその対処法について書かれた文庫本です。

第1章と第2章では、ストレスの仕組みついて脳科学の観点から解説し、第3章ではセロトニンの量を増やすためのトレーニングの紹介、第4章と第5章ではストレス発散にとても効果の高い「涙」の効果について記載されています。

全体的に分かりやすく書かれてはいるものの、神経の働きに関するところとかはもう少し図とか視覚的な説明が欲しかったところ。

また、涙の効能についての記述は割と知らないことが多くて勉強になったのものの、「定期的に号泣すると良いと言われてもなかなか難しいよね…」と思ってしまいました。

とはいえ、文庫でサクッと読めるのは本書の利点です。

一方で、すでに似た様なテーマの本を読了済みの方の場合は、目新しい情報は少ないかもしれません。

まとめ

この記事では、有田秀穂さんの著書である『脳からストレスを消す技術』の概要と感想をご紹介しました。

慢性的なストレスは健康に良くありません。

日常生活の中で、できるだけストレス解消を意識して、前向きに日々を過ごしていきましょう。