この記事は『やり抜く力 GRIT(グリット) 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』についての書評です。

『やり抜く力 GRIT(グリット) 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』は、アンジェラ・ダックワースさんの著書。

2016年にダイヤモンド社から出版されました。

「やり抜く力」は大人でも子供でも、いつからだって伸ばすことができるのだ、と話題になった本です。

本の3行紹介

人生で成功するために重要なのは、持って生まれた才能ではなく、目標に向かって直向きに努力し続けることができる「やり抜く力」である、という本。

さまざまな著名人へのインタビューや研究結果を元にして書かれています。

全体的に研究者が書いた本という感じが強いので、軽めのビジネス書を求めている方には少々重いかもしれませんが、「やり抜く力」について科学的に知りたいという方にとっては最良の本だと思います。

本の目次
  • 第1章:「やり抜く力」の秘密
  • 第2章:「才能」では成功できない
  • 第3章:努力と才能の「達成の方程式」
  • 第4章:あなたには「やり抜く力」がどれだけあるか?
  • 第5章:「やり抜く力」は伸ばせる
  • 第6章:「興味」を結びつける
  • 第7章:成功する「練習」の法則
  • 第8章:「目的」を見出す
  • 第9章:この「希望」が背中を押す
  • 第10章:「やり抜く力」を伸ばす効果的な方法
  • 第11章:「課外活動」を絶対にすべし
  • 第12章:まわりに「やり抜く力」を伸ばしてもらう
  • 第13章:最後に

個人的な2つの学び

本書を読んで得た、個人的な学びポイントを2つまとめます。

続けるためには、兎にも角にも好きなことを見つけよう

著者のアンジェラ・ダックワースさんは、「やり抜く力」を伸ばす1つの方法として、自身の興味を掘り下げることを勧めています。

「好きなことを仕事にするのは正しいのか」という問題に関する研究では、人は自分の興味に合った仕事をしているほうが、仕事に対する満足度がはるかに高いことが明らかとなっているそうです。

つまり、好きなことをやると満足度が高くなり、満足度が高くなるので長続きする、というロジックですね。

そのため、アンジェラ・ダックワースさんは「情熱」や「興味」といったものを大切にしています。

「そんなこと言われても、まだ『これだ』と思うものは見つからないんだよ……」という方は、自分自身に次の簡単な質問をしてみてください。

自分の興味関心を深掘りするための質問
  • 「私はどんなことを考えるのが好きだろう?」
  • 「いつのまにかよく考えているのはどんなこと?」
  • 「私が本当に大切に思っているのはどんなこと?」
  • 「私にとってもっとも重要なことは?」
  • 「なにをしているときがいちばん楽しい?」
  • 「これだけは耐えられないと思うことは?」

自分が好きなことを選別する際の3つのコツ

先ほどの「自分の興味関心を深掘りするための質問」を経て、ぼんやりと方向性が見えてきたら、気になったものはなんでもチャレンジしてみましょう。

アンジェラ・ダックワースさんのおすすめのコツは以下の3つです。

まずは好き嫌いをはっきりさせて、そこから積み上げていこう

自分の興味のあることははっきりとは分からなくても、生活費を稼ぐ手段として「これだけはやりたくない」と思うものってありますよね。

そして、その逆で「これなら良いかも」と思えるものもあるはずです。

まずは、好き嫌いをはっきりさせて、自分が最低限興味のあることを選別してみましょう。

とりあえずいいと思ったことをやってみよう

本当に興味があることが見つかるまでは、ある程度、試行錯誤するのは仕方がありません。

「唯一の正解」や「最高の目標」を見つけようとは思わないで、何となく良さそうだと思える方向性を見つけるだけでOKです。

何でも実際にやってみて、しばらく続けてみなければ、自分に合っているかどうかなんて分からないですよね。

うまくいかなかった場合は、取り消したって構わない

一度ですべてがうまくいくことなんて、そうそうありえません。

世の中で大きな成功を収めている人は、他の人よりも試行回数が多いため、失敗する数も多いそうです。

色々試して、日々改善を行っているからこそ、他の人よりも大きな成功を掴むことができるんですね。

私たちもいつかは最重要の目標を決める日が来ますが、それまでは色々と試行錯誤してみましょう。

失敗は成功の母とも言いますしね。

感想

「やり抜く力」を持った著名人のお話や最新の研究成果をもとに、「やり抜く力」を科学的に解析する本でした。

研究者の方の本なので全体的に内容が濃く、腰を据えて読む感じですね。

日本のビジネス書で主流な、項目ごとに分けて重要ポイントをメインに紹介するような簡潔さとは真逆の本なので、そこは注意した方が良いと思います。

私もAmazonから届いた本を手に取ったとき、これは読むのに時間がかかるかも、と思ったくらいです。

ただ、その分、一つ一つの段階を積み上げて論証していく丁寧さや、研究結果の細かい解説部分などは豊富でした。

特に、「やり抜く力」にどうして注目するべきなのか、どうすれば「やり抜く力」を育てることができるのか、子供に「やり抜く力」を身につけさせるにはどうしたら良いのか、といった箇所については、とても丁寧に紙面を割いて解説してくれています。

中でも、後半は子育て中の親御さんをターゲットにしているような章構成になっているので、小さなお子さんを持つ方におすすめです。

多少気になるとすれば、全体的に著者の熱いパワーを感じることでしょうか?

エビデンスは豊富で理系な内容になっているものの、文体からは熱血さを感じることが多かったです。

文化系よりは体育会系のような本ですね。

「後天的に一生懸命正しく努力を続けたものが成功する!」といった内容なので、ある程度そうなるのも仕方がないのかもしれません。

まとめ

この記事では、アンジェラ・ダックワースさんの著書である『やり抜く力 GRIT(グリット) 人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』の概要と感想をご紹介しました。

「やり抜く力」は後天的に身につけることができます。

「やり抜く力」を強くするステップも紹介されているので、本書を参考に日々努力を続けていけば、徐々に粘り強い人間になれるかもしれません。

何事も、努力を続けることが大事なのですね。

私も一朝一夕でどうにかしようとせずに、長い目で「やり抜く力」を育てていこうと思います。