この記事は『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』についての書評です。
『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』は、グレッグ・マキューンさんの著書。
2014年にかんき出版から出版されたものです。
雑然とした状況を改善し、本当に大事なものに集中するための思考法を教えてくれます。
- 毎日、家事や仕事に追われていて、自分のやりたいことができていないように感じている方
- 今年の目標を達成できずに、気がつけば年末を迎えがちな方
- 仕事は忙しいのに、成長している実感が湧かなく悩んでいる方
本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。
本の簡単な紹介
全米ベストセラーの邦訳版。
今や日本のビジネス書における鉄板と言っても良いほどのロングセラーとなりました。
その思想は「より少なく、しかしより良く」というもの。
99%の無駄を捨てて、自分にとって重要な1%に集中するための思考法を教えてくれます。
最近のビジネス書の潮流を作り出した一冊と言えるでしょう。
いつ書店に行っても、必ず目にする良書ですね。
ビジネスパーソンとしては押さえておきたい鉄板本です。
この本を読んだ理由
仕事が忙しくなり、本来やるべきタスクに集中できない時期が続いていました。
何とかしなければいけないけれど、何とかするための時間が取れない、というジレンマ。
これは抜本的な意識改革が必要だろうと思い、ネットでいくつか検索したところ、本書の口コミを発見。
どうやら、私のように本来の仕事に集中できていない人向けの本とのこと。
「これはとりあえず買うしかない!」と即決し、Amazonで購入した次第です。
印象に残った箇所
特に印象に残ったのは、PART1の「エッセンシャル思考とは何か」です。
今回は、その中から個人的な学びをいくつかご紹介しますね。
克服すべき3つの思い込み
グレッグ・マキューンさん曰く、エッセンシャル思考になるためには、3つの思い込みを克服しなければならないそうです。
その思い込みとは、以下の3つ。
これらの思考は、私たちを重要ではないものへと駆り立ててしまう考え方です。
「あれもこれも全部やらないと!」「やればできる!」と考えていると、心身を激しく消耗します。
基本的に全部やることは不可能なのです。
そして失敗すると、「できないのは私の努力不足だ……」「自分はなんてダメなんだ……」などと、自分を責めることになります。
これは「あなただから」できないのではありません。
そもそも「誰でも無理」なのです。
次から次へと降ってくる仕事。
締切直前で変わる仕様や追加要望。
現代の仕事はスピードが早いだけではなく、物量も多すぎるのです。
そんな状況で、「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」という思い込みを続けていると、本当に大事なことに時間を割けなくなります。
そして、大事なことができていないことに、また責任を感じてしまうのです。
悪循環ですね。
これらを踏まえ、グレッグ・マキューンさんは、3つの思い込みを克服し、以下のような思考に変化させなさい、と述べています。
それは以下の3つ
この3つの考え方は、エッセンシャル思考の土台となるものです。
エッセンシャル思考の基本については、次の章で軽くご紹介しますね。
エッセンシャル思考の基本
先ほどは、「3つの思い込みを克服し、新たな思考を手に入れよう」というお話でした。
手にするべき思考は以下の3つでしたね。
これらを前提に、グレッグ・マキューンさんは、エッセンシャル思考の基本を以下のように説いています。
選択
時間とエネルギーの使い道を選びましょう。
私たちに与えられた時間とエネルギーは有限です。
無駄なもの、自分にとって不要なものにばかり費やしていると、あっという間に人生が終わってしまいます。
周囲に流され続けていると、次第に学習性無力感に襲われ、自分で何かを決めることができなくなります。
やる気が失われていくんですね。
そのため、常に主体性を持って「選ぶ」という意識を持ちましょう。
あなたの人生はあなただけのものなのですから。
ノイズ
世の中に本当に重要なものはほとんどありません。
パレートの法則をご存知でしょうか?
19世紀末に経済学者のヴィルフレド・パレートが提唱した考え方で、成果の80%は20%の努力に起因する、という説です。
つまり、本当に重要な20%に力を集中しさえすれば、全体の80%の成果を手に入れられる、ということですね。
これほどコスパの良いことはないでしょう。
逆に、無駄なこと・重要ではないことに力を費やしても、成果は20%しかでない、ということでもあります。
そのため、世の中のほとんどは、あなたの人生にとってノイズに過ぎない、ということを覚えておきましょう。
トレードオフ
すべてを手にいれることはできません。
何かを選ぶことは、何かを捨てることだと理解しましょう。
逆説的に、何かを捨てることで、別の何かを選ぶことができるようになります。
何かを諦めなければならないのであれば、自分にとって重要度の低いものを捨てましょう。
大事なのは、「どうやって全部終わらせようか」と考えるのではなく、「どの問題が一番重要か?」と考えることです。
あなたにとって、一番重要なものは何でしょうか?
感じたこと・考えたこと
重要なことに集中するための理由やポイントを、イラストや表と共に分かりやすく解説してくれている良書でした。
随所に様々なエビデンスを掲載している点も良かったです。
紙面の使い方も秀逸。
エッセンシャル思考の人とそうでない人との違いを一目で理解できるようになっていました。
この手のビジネス書をまだ読んだことがない人に特にお勧めしやすい本です。
逆に、「集中法」「整理の仕方」「目標管理」といった分野に関して、最近のビジネス書を読んだことのある方にとっては、目新しいことは少ないかもしれません。
これは一見するとデメリットのようにも思えますが、本書が2014年刊行であることを考えると、むしろ本書が時代を先取りしていたと言えると思います。
そう考えると、本書はこの10年間のビジネストレンドの原点なのかもしれません。
まとめ
この記事では、グレッグ・マキューンさんの著書である『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』の概要と感想をご紹介しました。
約10年前に書かれたことを感じさせない、今でも十分通用するビジネス書だと思います。
仕事や身の回りのことに忙しくて、何だか自分のやりたいことができていないように感じている方には、ぜひ一度読んでみていただきたいです。
「より少なく、しかしより良く」という本書のコンセプトは、いつの時代、どの場所、どの分野でも、必ず役に立つことでしょう。
あまりにも忙しい現代だからこそ、本当に大事なことに集中して取り組めるようにしていきたいですね。