この記事は『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』についての書評です。
『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』は、グレッグ・マキューンさんの著書。
2014年にかんき出版から出版されたものです。
雑然とした状況を改善し、本当に大事なものに集中するための思考法を教えてくれます。

本の3行紹介
全米ベストセラーの邦訳版であり、今や日本でもビジネス書における鉄板となっている本です。
99%の無駄を捨てて、自分にとって重要な1%に集中するための思考法を教えてくれます。
ビジネスパーソンとしては、必ず押さえておきたい鉄板本の一つと言えるでしょう。
- PART1 エッセンシャル思考とは何か
- PART2 見極める技術
- PART3 捨てる技術
- PART4 しくみ化の技術
個人的な3つの学び
本書を読んで得た、個人的な学びポイントを3つまとめます。
克服すべき3つの思い込み
著者のグレッグ・マキューンさん曰く、エッセンシャル思考になるためには、3つの思い込みを克服しなければならないそうです。
- 「やらなくては」
- 「どれも大事」
- 「全部できる」
これらの思考は、私たちを重要ではないものへと駆り立ててしまう考え方です。
「あれもこれも全部やらないと!」「やればできる!」と考えていると、心身を激しく消耗します。
基本的に全部やることは不可能なのです。
そして失敗すると、「できないのは私の努力不足だ……」「自分はなんてダメなんだ……」などと、自分を責めることになります。
これは「あなただから」できないのではありません。
そもそも「誰でも無理」なのです。
次から次へと降ってくる仕事。
締切直前で変わる仕様や追加要望。
現代の仕事はスピードが早いだけではなく、物量も多すぎるのです。
そんな状況で、「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」という思い込みを続けていると、本当に大事なことに時間を割けなくなります。
そして、大事なことができていないことに、また責任を感じてしまうのです。
エッセンシャル思考の3つの基本
グレッグ・マキューンさんは、エッセンシャル思考の基本は以下の3つだと説いています。
- 選択
- ノイズ
- トレードオフ
選択
時間とエネルギーの使い道を選びましょう。
私たちに与えられた時間とエネルギーは有限です。
無駄なもの、自分にとって不要なものにばかり費やしていると、あっという間に人生が終わってしまいます。
周囲に流され続けていると、次第に学習性無力感に襲われ、自分で何かを決めることができなくなります。
やる気が失われていくということですね。
そのため、常に主体性を持って「選ぶ」という意識が大事なのです。
ノイズ
世の中に本当に重要なものはほとんどありません。
パレートの法則をご存知でしょうか?
19世紀末に経済学者のヴィルフレド・パレートが提唱した考え方で、成果の80%は20%の努力に起因する、という説です。
つまり、本当に重要な20%に力を集中しさえすれば、全体の80%の成果を手に入れられる、ということですね。
これほどコスパの良いことはないでしょう。
逆に、無駄なこと・重要ではないことに力を費やしても、成果は20%しかでない、ということでもあります。
そのため、世の中のほとんどは、あなたの人生にとってノイズに過ぎない、ということを覚えておきましょう。
トレードオフ
すべてを手にいれることはできません。
何かを選ぶことは、何かを捨てることだと理解しましょう。
逆説的に、何かを捨てることで、別の何かを選ぶことができるようになります。
何かを諦めなければならないのであれば、自分にとって重要度の低いものを捨てましょう。
大事なのは、「どうやって全部終わらせようか」と考えるのではなく、「どの問題が一番重要か?」と考えることです。
捨てる技術
グレッグ・マキューンさんは、不必要なものを捨てて、本当に大切な物事に集中することが大事だ、と述べています。
では、不必要なものを捨てるために、私たちはどうすれば良いのでしょうか?
そのためのコツは、「これを持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」と問いかけること、だそうです。
人は自分が所有してるものを実際よりも高く評価しがちです。
これは心理学の実験でも明らかになっており、人は手元にあるというだけで、そのものの価値を大きく見積もってしまい、その結果、なかなか捨てられなくなってしまうのです。
しかし、「これを持っていなかったら、今からお金を出して買うだろうか?」と問いかけることで、自分の本音に気づくことができるようになります。
「お金を出してでも、もう一度購入したい」と考えるものであれば、それは本当に必要なもの。
逆に、「お金を出してもう一度買うのはちょっと…」という場合は、実はそんなに必要ではない、ということです。
感想
重要なことに集中するための理由やポイントを、イラストや表と共に分かりやすく解説してくれている良書でした。
随所に様々なエビデンスを掲載している点も良かったです。
紙面の使い方も秀逸。
エッセンシャル思考の人とそうでない人との違いを一目で理解できるようになっていました。
この手のビジネス書をまだ読んだことがない人に特にお勧めしやすい本です。
逆に、「集中法」「整理の仕方」「目標管理」といった分野に関して、最近のビジネス書を読んだことのある方にとっては、目新しいことは少ないかもしれません。
これは一見するとデメリットのようにも思えますが、本書が2014年刊行であることを考えると、むしろ本書が時代を先取りしていたと言えると思います。
そう考えると、本書は近年におけるビジネストレンドの原点なのかもしれません。
まとめ
この記事では、グレッグ・マキューンさんの著書である『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』の概要と感想をご紹介しました。
約10年前に書かれたことを感じさせない、今でも十分通用するビジネス書だと思います。
仕事や身の回りのことに忙しくて、何だか自分のやりたいことができていないように感じている方には、ぜひ一度読んでみていただきたいです。
「より少なく、しかしより良く」という本書のコンセプトは、いつの時代、どの場所、どの分野でも、必ず役に立つことでしょう。
あまりにも忙しい現代だからこそ、本当に大事なことに集中して取り組めるようにしていきたいですね。
