この記事は『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』についての書評です。
『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』は、枡野俊明さんの著書。
2017年に文響社から出版されました。
繊細で真面目な方が、もっと自分らしさを大事に「わがまま」に生きるための方法を解説した本です。

本の3行紹介
「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた、禅僧の枡野俊明さんの著書。
本書はいわゆる「繊細さん」に向けた本ですが、他の書籍と異なるのは、禅の観点からアドバイスをしてくれるところ。
古来より受け継がれてきた禅の精神、考え方、言葉などをもとに、繊細さんが世の中を生きやすくなるようなヒントを紹介してくれます。
- 第一章 ちょっと図太くなって、たくましく生きる
- 第二章 図太い人は、人間関係にも強い
- 第三章 図太い人は、気持ちの切り替えがうまい
- 第四章 怒りをため込まないで、図太く解消する
- 第五章 図太さを貫いたその先に
個人的な3つの学び
本書を読んで得た、個人的な学びポイントを3つまとめます。
長所には敏感に、短所には鈍感に
枡野さんは、長所には敏感に、短所には鈍感になりなさい、と述べています。
私は他人の長所と自分の短所を比較して落ち込みがちだったので、この考え方は目から鱗でした。
人には長所もあれば短所もあって当たり前。
それなのに、短所にばかり注目して、長所が見えていないのはもったいないですよね。
短所をどうにかしようとするよりも、自分の長所を伸ばした方が効果も高いですし、何より楽しいはずです。
長所を伸ばすことが自分らしさにつながるのだと、枡野さんも述べていました。
これからはもっと自分の長所を意識し、自分らしさを伸ばしていけるように心がけていこうと思います。
まっすぐな心をもって、目の前のことに全力を尽くそう
禅には「一行三昧(いちぎょうざんまい)」という言葉があります。
まっすぐな心を持って、一つのことに全力を尽くす、という意味なんだそうです。
枡野さん曰く、あらゆることに「一行三昧」で臨むことが禅の振る舞い方であり、禅の生き方そのもの、とのこと。
何事も結果は後からついてくるものであって、けっして自分から求めるものではありません。
取り組んでいる最中にどうこうしようとしても、運や周囲の環境、自分のコンディションなどによって、結果は左右されてしまうものです。
しかし、目の前のことに全力を尽くせば、結果がどんなものであっても、素直に受け入れることができるものだと、枡野さんは述べていました。
一つ一つの物事に全力を出し切ることが大事なんですね。
年相応ではなく、自分相応に生きる
人は歳を重ねるにつれて、周囲から求められるものが変わったり、世間的な「当たり前」が出来上がってきたりします。
しかし、枡野さんは「年相応ではなく、自分相応に生きることを大切にしなさい」と述べていました。
自分相応に生きていくのであれば、そもそも年齢に縛られることはありません。
いつまでも自分らしくいることができますし、老いに対しても鈍感でいられます。
周囲からの「相応」に合わせるのではなく、自分の中の「相応」に合わせて、前向きに生きていきたいですね。
感想
傷つきやすい繊細な人向けに、禅の思考をやさしく教えてくれる本でした。
禅の言葉や考え方をたびたび教えてくれるのですが、「他者と比較せずに、自分らしさを大事にする」「過去や未来を気にせずに、今ここに集中する」といったところからは、老子や荘子の思想も感じられます。
やはり、インドから中国を通って日本にやってくるまでの間に、仏教的な教えはいろいろな思想と混ざり合って進化してきたんだなぁと感じました。
禅の専門用語は多かったものの、その都度、著者の経験に基づいてわかりやすく説明してくれるので、禅初心者でも読みやすかったです。
マインドフルネスやフォーカス、即実行すること、気にしない技術、などなど、この複雑で堅苦しい世の中で繊細さんが生きていくためのアドバイスが豊富に触れられており、禅の奥深さを感じることができました。
日々の生活の中で心構えを変えるだけでも刺激の受け取り方は変わってくると思うので、積極的に禅思考を試していきたいです。
まとめ
この記事では、枡野俊明さんの著書である『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』の概要と感想をご紹介しました。
「禅」と聞くと少し身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はとても日本人の心に根ざした思想です。
学校での古文漢文の時間に学んだことや、大人になるまでに教わったことなど、思い返すとさまざまな場面で禅的な思想に触れてきたのだと思います。
今やマインドフルネスは誰もが知る用語になりましたが、禅の思想も本質は同じもの。
禅は「自分が自分らしく生きるための思想」だと思いますので、日常の人間関係などでお悩みの方こそ、一度禅の考え方を学んでみてほしいです。
きっと視野が広がり、不安に対処する新たな方法を得ることができるでしょう。
私も本書で禅について興味を持ったので、もう少し専門的な本で学んでみようと思います。
