この記事は『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』についての書評です。

『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』は、枡野俊明さんの著書。

2017年に文響社から出版されました。

繊細で真面目な方が、もっと自分らしさを大事に「わがまま」に生きるための方法を解説した本です。

以下のような方におすすめ!
  • 仕事や日常でちょっとしたことが気になってしまい、心が疲れている方
  • 相手に言われた一言がずっとモヤモヤして苦しい方
  • 一人反省会を開きがちで、もっと気にしないで生きられるようになりたい方

本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。

本の簡単な紹介

概要紹介

「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた枡野俊明さんの著書。

枡野俊明さんは現役の禅僧でもあります。

本書はいわゆる「繊細さん」に向けた本ですが、他の書籍と異なるのは、禅の観点からアドバイスをしてくれるところ。

古来より受け継がれてきた禅の精神、考え方、言葉などをもとに、繊細さんが世の中を生きやすくなるようなヒントを紹介してくれます。

巻末には「眠れる坐禅」と銘打ち、寝つきが悪い人のための座禅方法も解説。

「繊細さん」にも不眠症の方にもおすすめできる良書です。

この本を読んだ理由

選んだ理由

本書を購入したのは、前回の記事でもご紹介した『今日も明日も「いいこと」がみつかる 「繊細さん」の幸せリスト』を読み終えたころでしょうか。

HSPについての概要や大まかな対策を理解し、日々の中で少しずつ実践をしていったところ、ある程度の効果を感じていました。

「以前よりも良い方向に進んでいるぞ!」と思った私は、さらにHSPについての理解を深めるべく、新たなHSP本を探していたのです。

基本的なことは『今日も明日も「いいこと」がみつかる 「繊細さん」の幸せリスト』で理解しているので、「せっかくなら別の観点から解説されたものが良いな」と書店をぐるぐるしていたところ、本書を見つけました。

仏教関連の本はいくつか目に入っていたのですが、本書は現役の禅僧が「繊細さん」に向けて書いた本とのことで、今回の目的に合致していたので、購入した次第です。

印象に残った箇所

印象的な箇所

特に印象に残ったのは、第1章の「ちょっと図太くなって、たくましく生きる」です。

せっかくなので、今回はその中から、私の学びになった箇所をご紹介しますね。

長所には敏感に、短所には鈍感に

私はよく他人と自分を比較して、勝手に落ち込んでしまいます。

しかも、一度落ち込むと結構引きずるんですよね……。

これは精神的にも良くありません。

そこで、枡野俊明さんは「敏感になるべきは長所で、鈍感でいていいのは短所である」と述べています。

この考え方は目から鱗でした。

私は短所に敏感で、長所に鈍感になっていたのです。

人には長所もあれば短所もあって当たり前。

それなのに、短所にばかり注目して、長所が見えていないのはもったいないですよね。

短所をどうにかしようとするよりも、自分の長所を伸ばした方が効果も高いですし、何より楽しいはずです。

そして、長所を伸ばすことが自分らしさにつながるのだと、枡野さんは仰っていました。

私は他人の長所と自分の短所を比較して苦しみ、自分らしさが曖昧になっていたんですね。

これからはもっと自分の長所を意識し、自分らしさを伸ばしていけるように心がけていこうと思います。

感じたこと・考えたこと

読んだ感想

傷つきやすい繊細な人向けに、禅の思考をやさしく教えてくれる本でした。

禅の言葉や考え方をたびたび教えてくれるのですが、「他者と比較せずに、自分らしさを大事にする」「過去や未来を気にせずに、今ここに集中する」といったところからは、老子や荘子の思想も感じられます。

やはり、インドから中国を通って日本にやってくるまでの間に、仏教的な教えはいろいろな思想と混ざり合って進化してきたんだなぁと感じました。

禅の専門用語は多かったものの、その都度、著者の経験に基づいてわかりやすく説明してくれるので、禅初心者でも読みやすかったです。

マインドフルネスやフォーカス、即実行すること、気にしない技術、などなど、この複雑で堅苦しい世の中で繊細さんが生きていくためのアドバイスが豊富に触れられており、禅の奥深さを感じることができました。

日々の生活の中で心構えを変えるだけでも刺激の受け取り方は変わってくると思うので、積極的に禅思考を試していきたいです。

まとめ

この記事では、枡野俊明さんの著書である『傷つきやすい人のための 図太くなれる禅思考』の概要と感想をご紹介しました。

「禅」と聞くと少し身構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はとても日本人の心に根ざした思想です。

学校での古文漢文の時間に学んだことや、大人になるまでに教わったことなど、思い返すとさまざまな場面で禅的な思想に触れてきたのだと思います。

今やマインドフルネスは誰もが知る用語になりましたが、禅の思想も本質は同じもの。

禅は「自分が自分らしく生きるための思想」だと思いますので、日常の人間関係などでお悩みの方こそ、一度禅の考え方を学んでみてほしいです。

きっと視野が広がり、不安に対処する新たな方法を得ることができるでしょう。

私も本書で禅について興味を持ったので、もう少し専門的な本で学んでみようと思います。