この記事は『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』についての書評です。
『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』は、末永幸歩さんの著書。
2020年にダイヤモンド社から出版されました。
柔軟な思考を身に付けたいと考えている方におすすめの書籍です。

本の3行紹介
中学・高校の美術教師として、700人を超える生徒たちに美術の楽しさを教えている末永幸歩さんの著書。
20世紀を代表するアートを題材に、自分だけの視点・答え・問いを生み出す方法を分かりやすく解説してくれます。
タイトルには「13歳から〜」となっていますが、大人になった今こそ、一度肩の力を抜いて読んでほしい良書です。
- PROLOGUE 「あなただけのかえる」の見つけ方
- ORIENTATION アート思考ってなんだろう
- CLASS1 「すばらしい作品」ってどんなもの?
- CLASS2 「リアルさ」ってなんだ?
- CLASS3 アート作品の「見方」とは?
- CLASS4 アートの「常識」ってどんなもの?
- CLASS5 私たちの目には「なに」が見えている?
- CLASS6 アートってなんだ?
- EPILOGUE 「愛すること」がある人のアート思考
個人的な2つの学び
本書を読んで得た、個人的な学びポイントを2つまとめます。
アートにとっての本質は、作品が生み出されるまでの過程にある
アートを植物に例えるならば、「表現の花」「興味のタネ」「探究の根」の3つからできている、と本書では述べています。
- 表現の花
- 表に見える部分
- 興味のタネ
- 自分の内側にある興味関心
- 探究の根
- 作品が生み出されるまでの過程
特に重要なのが「探究の根」の部分。
アーティストは、自分の中の興味関心をもとに、自分なりのものの見方で世界を捉え、自分なりの探究を続けるそうです。
その結果として、「表現の花」の部分、つまりは作品が完成するのだとか。
絵画の世界では、一見すると奇妙な絵が高く評価されることがありますが、それは「表現の花」の部分が評価されたというよりも、その作品を生み出す過程(「探究の根」)そのものが評価された結果なのですね。
表現の花を咲かせるための、たった一つの軸
「真のアーティスト」とは「自分の好奇心」や「内発的な関心」からスタートして価値創出をしている人のことだと、本書は述べています。
ゴールがあってそこに向かって走っているわけではなく、ひたすら自分の内側にある「探究の根」を伸ばしているのです。
「常識」や「正解」にとらわれず、「自分の内側にある興味」をもとに、「自分のものの見方」で世界をとらえ、「自分なりの探究」をし続けること。
それこそが「アート思考」であり、それによって、いつか自分だけの「表現の花」を咲かすことができるのだとか。
自分が好きで興味を持っていることを大事に育てていきたいですね。
感想
美術史を題材に、変化の多い時代を生き抜くための考え方を教えてくれる本。
「アート思考」とあるものの、美術的な知識は全く不要です。
近現代に至るまでの美術史を楽しく学びながら、「常識」や「正解」に捉われることなく、「自分のものの見方」で世界を見るヒントを得ることができます。
豊富なカラー画像と優しい文体のおかげで、とても分かりやすかったです。
個人的に、「アーティスト」と「花職人」の違いの部分が印象に残りました。
ざっくり言えば、自分の内なる興味関心に従って作品を生み出すのが前者で、外部の評価や常識に従って作品をつくるのが後者とのこと。
アート思考とは、つまり「自分のものの見方」で世界をとらえ、「自分なりの探究」を続ける考え方のことなんですね。
VUCA時代と呼ばれる波瀾万丈の現代では、これまで学んできた「絶対的な正解」が通用しなくなっているので、このアート思考が重要になってくると思います。
周囲に合わせるのではなく、自分だけの答え・自分らしい答えを見つけていきたいと願っている人には、ぜひ一度読んでみていただきたい良書でした。
まとめ
この記事では、末永幸歩さんの著書である『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』の概要と感想をご紹介しました。
とても分かりやすく、さらには美術に関する興味も掻き立ててくれる良い本でした。
自分の中にある「探究の根」を伸ばし、自分だけの素敵な花を咲かせられるように、日々いろいろなことを学んだり、挑戦したりしていこうと思います。
