この記事は『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』についての書評です。
『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』は、カル・ニューポートさんの著書。
2019年に早川書房から出版されました。
「何となくSNSを眺めていたら休日が終わってしまった……」とお悩みの方におすすめの書籍です。
- 最近、SNS疲れを感じているという方
- せっかくの休日なのに、SNSを眺めて終わりがちな方
- 情報に振り回されず、自分らしい生活を取り戻したい方
本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。
本の簡単な紹介
テック界の「こんまり」として話題となっているコンピューター科学者の著書。
デジタル機器に特化した「片付けの魔法」を教えてくれます。
海外でも大好評で、Amazonベストブック2019(ビジネス&リーダーシップ部門)とニューヨーク・タイムズ・ベストセラーに選ばれるほどの人気作です。
本書で筆者が勧めている方法は「30日間のデジタル断捨離」ともいうべきもの。
1600人を超える集団実験を実施し、その結果も踏まえて執筆されているので、机上の空論ではないところが安心ですね。
「最近、デジタル機器やツールに振り回されているなぁ」とお悩みの方におすすめの一冊です。
この本を読んだ理由
一言で言えば、SNS疲れですね。
TwitterがXに変わったころくらいからでしょうか。
旧Twitterもなんだか色々と雰囲気も変わってきて、以前にも増してメンタルの疲労感を覚えるようになりました。
それでも、速報性のある情報や公式の情報収集のために使ってはいたのですが、タイムラインを見ているだけで疲れてしまって、「このままではいけない気がするけれど、どうすればいいんだろう……」と悩んでいたのです。
そんなとき、同僚から本書の情報を教えてもらいました。
どうやらデジタル界の「こんまり」と言われているとのこと。
スマホの中身を片付けする、という発想は目から鱗でした。
ちなみに、「こんまり」とは、世界的ベストセラーとなった『人生がときめく片づけの魔法』の著者である近藤麻理恵さんのことです。
そんなわけで、「あの著名な片付けの専門家と並び称されるほどなのか」と驚嘆し、期待を胸に購入した次第です。
印象に残った箇所
特に印象に残ったのは、やっぱり第3章の「デジタル片付け」です。
デジタル断捨離を行うための方法が記載されています。
今回はその中から、デジタル断捨離のための具体的なプロセスについてご紹介しますね。
前提としてのデジタル断捨離の哲学
まずは大前提として、著者が提唱するデジタル断捨離の哲学(デジタル・ミニマリズム)について軽くご紹介しましょう。
原則は3つです。
原則1:あればあるほどコストがかかる
あまりにも多くのデバイスやアプリがあると、1つ1つがもたらす小さなメリットの総和を帳消しにしてしまいます。
ツールやアプリの入れすぎは良くない、ということですね。
原則2:最適化が成功のカギである
潜在的なメリットを最大限に引き出すには、そのテクノロジーをどのように利用するかを慎重に判断しなくてはいけません。
人気だから、面白そうだから、という理由で取り入れすぎると、そもそも扱い切れなくなってしまいます。
お部屋の片付けも同じですが、買うのは簡単でも、捨てるのは難しいものです。
衝動的に導入するのではなく、きちんと目的意識を明確にしてから取り入れましょう。
原則3:自覚的であることが充実感につながる
新しいテクノロジーとの関わり方に自覚的であろうとすればするほど、大きな喜びを得ることができます。
つまり、テクノロジーに使われるのではなく、テクノロジーを使いこなすことが大事なのです。
そのためには、受動的になるのではなく、自発的にテクノロジーとの付き合い方を整理していかなくてはなりません。
デジタル片付けのプロセス
デジタル断捨離(片付け)のプロセスは実にシンプル。
全部で3つしかありません。
3つだと覚えやすくていいですよね。
それでは、早速ご紹介していきましょう。
その1:必須ではないテクノロジーを休止する
30日のリセット期間を定め、かならずしも必要ではないテクノロジーの利用を休止します。
ここが一番肝心です。
絶対に無くてはならないもの以外は、思い切ってアンインストールしたり、ロックをかけたりしましょう。
SNSももちろん対象です。
ご家族や友人とやりとりするのに必要なものは仕方ないかもしれませんが、それでもホーム画面から取り除くとか、毎回ログアウトするとかするのをおすすめします。
アプリを立ち上げるのにステップが増えれば増えるほど、断捨離しやすくなるからです。
私はAndroidをメインで使っているので、思い切ってほとんどのアプリをホーム画面から削除しました。
SNS関連はアンインストールし、必要に応じてブラウザから都度ログインするように変更。
最初は不安になったものですが、意外と数日で慣れるので安心してください。
その2:新しい趣味を発見する
この30日間に、楽しくてやりがいのある活動や行動を新しく探したり再発見したりしましょう。
デジタル機器がないからこそできることを探すのです。
例えば、外に出かけてみたり、紙の本を読んでみたり。
習い事や試験勉強に勤しむのも良いかもしれません。
今までスマホをいじっていた時間が空くことになるので、思い切っていつもとは違うことにチャレンジするのです。
ちなみに、私は博物館などに通うようになりました。
一時期は足が遠のいていたのですが、一度通ってみると、その後のハードルがグッと下がるものですね。
今では定期的に特別展の情報をチェックするようになりました。
その3:テクノロジーを再導入する
休止期間が終わったら、まっさらな状態の生活に、休止していたテクノロジーを再導入します。
その際、再導入するテクノロジーの1つ1つについて、自分の生活にどのようなメリットがあるか、そのメリットを最大化するにはどのように利用すべきかを検討することをお忘れなく。
この段階にくれば、意外とSNSやアプリを使わなくても生きていけることに気づくと思います。
どうしても必要なものだけ慎重に再導入していきましょう。
私は特別展の情報などをチェックしたくなったので、X(旧Twitter)のプライベート用のアカウントを作り直し、本当に情報を知りたいものだけフォローするようにしました。
今までは何となくフォローするものが増えてしまって、いつもタイムラインがカオスなことになっていたのですが、今ではとてもスッキリしています。
一度この感覚を味わったら、なかなか戻れないですね。
情報の奔流を制御できている感じがして、SNSを見ていても割と穏やかでいられるようになりました。
それ以外では……、そうですね。
必須ではないけれどときどき使いたいSNSやサービスがあると思いますが、そういったものは使う時間と運用ルールを決めて利用するようにしました。
例えば、「使うのは一日10分まで」「ブラウザで利用し、毎回ログアウトする」みたいな感じです。
惰性で使うようになってしまうと、せっかくのデジタル断捨離の効果がなくなってしまうので、ここはしっかりルールを決めた方が良いと思います。
テクノロジーを上手に制御して、自分らしい生活を守っていきたいですね。
感じたこと・考えたこと
デジタルなツールから離れ、自分にとって本当に大切なことに集中するための考え方を説いた本でした。
断捨離のデジタル版とも言えますが、筆者はすべてのデジタルツールを削除するように主張しているわけではありません。
「惰性でSNSを見てしまう」というような状況を避け、もっと主体的に人生をコントロールするための一つの方法としてデジタル・ミニマリズムを提唱しているのです。
基本的な考え方やポイント、それらを踏まえた具体的な演習案なども提示してくれているので、本を読み進めながらデジタルの片付けを実践できるのはとても良いなぁと思いました。
先ほども書きましたが、私も本書で紹介されていた「SNSアプリを削除する」という方法を試してみたところ、以前よりもスマホを使う時間が格段に減りました。
今では外に出たり、紙の本を読んだりする時間が増えたので、前よりも充実した毎日を過ごせています。
最初はちょっと不安でしたが、必要なときはブラウザから見ればよいですし、思ってたよりも問題なかったので、これからも続けていこうと思います。
SNSに疲れを感じていたり、何にもしていないのに一日が過ぎていくように感じたりする人におすすめです。
まとめ
この記事では、カル・ニューポートさんの著書である『デジタル・ミニマリスト 本当に大切なことに集中する』の概要と感想をご紹介しました。
人生の時間は有限です。
「何となくSNSを眺めていたら休日が終わってしまった……」ということにならないように、日頃からスマホの中身も整理していた方が良いと思います。
お部屋を片付けることで人生がときめくように、デジタル断捨離をすることで日常がより有意義なものになるでしょう。
SNSやツールに振り回されるのではなく、目的意識を持って人間主体で上手に付き合っていきたいですね。