この記事は『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』についての書評です。

『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』は、けんすうさんの著書。

2023年に幻冬舎から出版されました。

やりたいことが見つからない人向けの本で、物語の主人公のようにロールプレイをすることでキャリアを探る方法を教えてくれます。

本の3行紹介

起業家として有名な「けんすう」こと古川健介さんの著書。

「理想とするキャラクターになりきって行動する」という、ボトムアップ的なプロセスを通じて、キャリア設計をする際のポイントを平易な言葉で教えてくれます。

「やりたいこと」がなかなか見つからなくて悩んでいる方には、本書の視点・考え方がヒントになるかもしれません。

本の目次
  • オープニング:「物語思考」とはなにか?
  • ステップ1:頭の枷を外しながら、なりたい状態を考える
  • ステップ2:「キャラ」の作り方
  • ステップ3:「キャラ」に行動させよう
  • ステップ4:キャラが最高に活きる環境を作ろう
  • ステップ5:物語を転がそう
  • エンディング:物語にゴールはない

個人的な3つの学び

本書を読んで得た、個人的な学びポイントを3つまとめます。

不安なことがあれば、すべて紙に書き出すべし

頭の中を整理する方法として「ジャーナリング」というものがあります。

私も以下の書評でご紹介しましたが、いわゆる「書く瞑想」ですね。

人間は紙に手書きすると、不思議と目の前の考えが整理される生き物です。

目の前に具体化されるだけで、疑問点が明らかになったり、不安点が解消されたりするんですね。

そのため、不安で行動できないときは紙に書き出すのが効果的です。

ポイントは手書きすること。

スマホやパソコンでは、手書きほどの効果はありません。

困った時は、とりあえず頭の中のものを全部紙に書き出してみましょう。

「判断」と「決断」の違いを理解しよう

けんすうさんは、「判断」と「決断」を明確に区別しています。

具体的には、「判断」とは以下のプロセスを経るもののこと。

「判断」のプロセス
  1. 判断のための材料を集める
  2. 真偽や善悪を見極める
  3. 自分の考えを定める

一方で、「決断」は意思をはっきりと決定すればそれで終了するものだとか。

何かに悩んで行動できない場合は、自分が「判断」に悩んでいるのか、「決断」で悩んでいるのかを区別しなければなりません。

「判断」で悩んでいるのであれば、状況に応じて情報を集めることが正解かもしれませんし、情報収集は終わっていて、あとは自分の考えを定めるだけかもしれません。

しかし、「決断」で悩んでいる場合はできることはほとんどありません。

あとは自分の意思を決めるだけなので、ずっと悩んでいても状況は変わらないからです。

「決断」で悩んでいる場合は、ある意味、ノリと勢いも大事かもしれませんね。

リスクが怖い場合は管理表を作ろう

行動すると何かしらの結果が出ます。

もしも、その結果によるリスクを怖がって行動できない場合は、リスクが発生した場合の対処法を決めておきましょう。

想定されるリスクとそれを回避する方法、実際に起こった場合の対処法を事前に定めておくのです。

そうすれば、実際にリスクが顕在化した場合でも、事前に準備しておいた対処法を実行するだけなので、慌てることもなくなります。

何事も事前の準備が大事ということですね。

感想

「やりたいこと」が見つからない方に向けて、とても平易な言葉で語りかけてくれる本でした。

タイトルにもなっている「物語思考」ができるようになると、「〇〇だったら、この場面ではこのように行動するよね」という判断ができるのだと思います。

「憧れの人の行動を真似る」という方法を聞いたことがありますが、それに近いかもしれません。

心理学の用語で「パワーポーズ」というものがあります。

強そうなポーズを取ると精神的にも強気になる、という現象ですが、これもある意味で「物語思考」なのかも、と思いました。

内容が平易で章も細かく分かれているので、隙間時間にさっくり読むことができるのも良かったです。

「キャリア設計」というとなんだかとっつきにくい、と感じる人におすすめ。

それから、文体がとても柔らかく感じたのですが、どうやらメルマガの内容をもとに編集しなおしたそう。

割と砕けた語り口調なので、もしかすると人によっては合わないと感じるかもしれません。

書店やAmazonの立ち読み機能なので、少し文体を確認してから購入するのが良いと思いました。

まとめ

この記事では、けんすうさんの著書である『物語思考 「やりたいこと」が見つからなくて悩む人のキャリア設計術』の概要と感想をご紹介しました。

「やりたいこと」の見つけ方に関する本は数多くありますが、本書は既存の本とは異なるアプローチで書かれていて新鮮でした。

既存の本がしっくりこなかった方は、一度読んでみると新たな発見があるかもしれません。

私自身もキャリアに悩むことが多いのですが、けんすうさんの考え方を参考にして、「自分が理想とするキャラクターだったらどうするだろうか?」という視点を持ってみようと思います。

「やりたいこと」が見つからなくて悩んでいる方や、ご自身のキャリアを見つめ直したいという方の参考になれば嬉しいです。