この記事は『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』についての書評です。
『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』は、木下勝寿さんの著書。
2022年にダイヤモンド社から出版されました。
仕事ができる人になるための考え方やコツを、豊富なイラストや図とともに紹介している本になります。
- 仕事を頑張っているのに、なぜか成果が出なくて悩んでいる方
- 定時で上がっている同僚が、なぜか自分よりも成果を出していて不思議に思っている方
- 生産性を上げて、時間内に最大限の成果を上げたいと思っている方
本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。
本の簡単な紹介
東証プライム上場企業である、北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿さんの著書。
木下さんは、東洋経済オンラインが実施した「市場が評価した経営者ランキング2019」で1位を獲得したこともある名経営者です。
一人で創業した北の達人を、たった15年で当時の東証一部に上場させました。
その木下さんが培ってきた思考回路・心構え・仕事のスキルを1冊にまとめたのが、本書になります。
45個の法則をすべて頭と心にインストールすることができれば、きっとあなたの生産性も爆上がりすることでしょう。
社会に出たばかりの方や、仕事の進め方で悩んでいる方にぜひ読んでいただきたい本です。
この本を読んだ理由
会社で同僚が一人、また一人と退職しまして……。
気づけば、私の仕事が以前の倍近くになっている始末。
やってもやっても終わらない仕事。
無常に突き進む時計の針を見ながら、昨日も今日も残業の日々。
「これは本当にまずい」と思い、人員の増加をお願いしたものの、すぐは人が採用できるわけではありません。
なんとか人が増えるまで耐えなければならないのですが、私も定時で上がりたいし、できれば土日は普通に休みたいです。
「そのためには自分自身の生産性を上げるしかないのでは?」と思い、疲れた体に鞭打って、仕事帰りに書店へ行きました。
ぼーっとする頭をなんとか動かして店内を歩き回ってみると、イチオシ本コーナーで本書を発見。
「北の達人の社長さんかー」と思いながら手に取ってみると、なかなか分かりやすくまとまっています。
しかも、巻頭には役職・立場別におすすめの読み順も掲載されており、効率的に読み進めることができそうな予感もしました。
これも何かの縁だと思い、そのまま購入した次第です。
印象に残った箇所
特に印象に残ったのは、第1章の「すぐやる人の思考アルゴリズム」です。
今回は、その中から個人的に学びになった箇所をいくつかご紹介します。
行動量が10倍アップする ピッパの法則
木下勝寿さん曰く、世の中には3種類の人間がいるそうです。
- 成功する人
- アイデアを10個思いついたら、10個実行する
- 成功しそうだけれどしない人
- 話す内容は「成功する人」と同じだが、行動はしない
- 成功しない人
- そもそも行動しない
つまり、「成功する人」になるためには、思いついたら即行動することが大事なのですね。
では、どうすれば即行動できるようになるのでしょうか?
木下勝寿さんは、「忙しいから実行できない」という思い込みを解消する「ピッパの法則」をおすすめしています。
「ピッパの法則」とは、「ピッと思いついたらパッとやる」ということ。
具体的には、やるべきことが起こったときに「後でやろう」「いつかやろう」と思うのではなく、すぐやるか、すぐできない場合はいつやるかをその場で決める、ということだそうです。
この法則の利点は、タスクが滞らないので、結果的に次々とタスクをこなしていけるようになること。
即断即決は名将の条件でもありますが、やっぱり現代の仕事でも大事なんですね。
私は割と後回しにしがちなので、気をつけたいと思います。
“重要度×緊急度×すぐ終わる”で考える 優先順位のダブルマトリックスの法則
重要度と緊急度で仕事の優先度を決める、「アイゼンハワーマトリクス」という手法をご存知でしょうか?
この手法の利点は、緊急ではないけれど実は重要なタスクを明確にできるところです。
しかし、現実的には「重要かつ緊急度の高いタスク」と「重要ではないけれど緊急度の高いタスク」に追われ、なかなかうまくいかないことも多いことでしょう。
私も「アイゼンハワーマトリクス」を使いこなせなかった一人です。
しかし、木下勝寿さんはここに「すぐ終わるかどうか」というポイントを加えて改良しました。
それが、優先順位のダブルマトリックスの法則です。
まずは重要度と緊急度で仕事を分別するのですが、重要度も緊急度も高いタスクばかりになった場合は、完了までにかかる時間を考慮し、すぐ終わるものを最優先にする、というもの。
すぐ終わるものを最優先にするところがミソですね。
木下勝寿さん曰く、「多くの人が重要度・緊急度が高く、時間のかかるものから手をつけるが、これは間違い」とのこと。
重要度と緊急度が同じなのであれば、すぐに終わるものから手をつけたほうが圧倒的に良いそうです。
その理由は以下の4つ。
- すぐ終わるものを優先することですぐに結果が得られ、こなせるタスク数が増える
- 発生から実行までのスパンが短くなることで、タスク管理の手間が省ける
- 大きな目で見ると仕事全体が進む
- 記憶が鮮明なうちに仕事が終わるので、短時間で漏れなく精度の高い仕事ができる
確かに、仕事をしているときの「進んでいる感」って大事ですよね。
少しずつでも前に進んでいることが分かると、なんだかモチベーションも上がってくるような気がします。
ちなみに、木下勝寿さんは、完了時間の目安で優先順位を変えなさいと仰っています。
具体的には以下の通りですね。
- 10分以内に完了 => すぐやる
- 30分以内に完了 => 今日中にやる
- 1時間以内に完了 => 明日中までにやる
- 1日以内に完了 => 2週間以内にやる。やる日を決める
- すぐにやる価値のないもの => 「やらない」と決める
個人的に、「すぐにやる価値のないものはやらないと決める」というところが目から鱗でした。
仕事上ですぐにやる価値のないタスクって結構あると思うんですよね。
惰性でやっている書類仕事とか、いつから続いているのか分からない謎の文化とか。
そういった「時間だけ取られる無駄なタスク」は、思い切って捨ててもきっと何も問題がないはず。
本書で得た一番の学びかもしれません。
感じたこと・考えたこと
北の達人コーポレーション社長の考え方のコツやノウハウが45個にギュギュッと詰まった本でした。
内容としては、他の有名なビジネス書などに書かれているテクニックを、著者の経験と思考でブレンドしたイメージ。
ビジネス書好きな方にとっては、もしかすると「あ、これ知ってる」となる箇所も多いかもしれません。
しかし、一番大事なのは、著者自身が前書きでも書いている通り、読んだあとに実行するかどうか、ということだと思います。
成功する人はとにかく行動量が多いので、本書の45個のコツをどのように日常で実践していくかが大事です。
イラストや図も豊富なので、思っている以上にサクッと読めるはず。
1日1項目ずつ学んで実行していけば、45日で一周できる計算になります。
これなら忙しい社会人でもなんとか読みきれそうですよね。
巻頭には付録として会社での階級別のロードマップもついているので、まずはそこから始めてみるのも良いかもしれません。
全体的に組織人向けの本なので、仕事の進め方に悩んでいるビジネスパーソンの方におすすめです。
まとめ
この記事では、木下勝寿さんの著書である『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』の概要と感想をご紹介しました。
上場企業の現役創業者だけあって、書かれている内容はどれも重要なものばかりでした。
職種によってはあまり参考にならないものもあるかもしれませんが、ポイントは45個も紹介されているので、自分に合ったものを取り入れるのが良いでしょう。
この手の本は読み終わった後の行動が一番大事です。
自分にとって参考になった箇所があれば、明日の仕事から早速実践してみましょう。
私も本書でインストールしたコツを実践に活かせるように頑張ります。