この記事は『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』についての書評です。
『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』は、有名なノート術であるバレットジャーナルを世に広めたライダー・キャロルさんの著書。
2019年にダイヤモンド社から出版されました。
- バレットジャーナルについて知りたい方
- 日常にノート術を取り入れたいと模索中の方
- 人生を変えて、もっと主体的に生きたいと思っている方
本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。
本の簡単な紹介
有名なノート術の一つである「バレットジャーナル」の公式本です。
著者はバレットジャーナルの発案者、ライダー・キャロルさん。
バレットジャーナルの仕組みや運用方法について、詳細にまとめられています。
しかし、本書は単なるノート術の紹介本ではありません。
そもそもバレットジャーナルは、人生を主体的に生きるために考案されたノート術です。
その解説本であるからこそ、本書はノートを通じて、人生をよりよく生きる方法についても示してくれています。
個人的に名著だと思っている本の1つです。
この本を読んだ理由
ちょうどタスク管理の方法について悩んでいたときに、あえてアナログに紙の手帳を使ってみようと思ったことが最初のきっかけです。
当時はちょっとスマホ疲れといいますか、デジタルツールを少し手放そうと思っていた時期だったこともあり、アナログな方法を探していました。
調べていくうちにバレットジャーナルに興味を持ち、実際に手元のノートでお試ししてみたところ、割といい感じに運用できたので、公式本を読んでさらに理解を深めようと思った次第です。
念の為、購入前に書店で軽く立ち読みしてみたところ、要所に図も挿入されていて見やすかったので、そのまま購入しました。
印象に残った箇所
個人的には、「PART 3:バレットジャーナルの使い方」が特に参考になりました。
今回はその中から、「目標の決め方」と「問題との向き合い方」について学んだことをご紹介しようと思います。
人生をより良くするための目標の決め方
前提として、人生を幸福なものにするためには「好奇心」が大事とのこと。
好奇心が湧くものは、人生にとって意義深いものである可能性が高いからです。
その上で、目標は自分の実体験で感じたことに端を発するものにするべき、と筆者は主張します。
特に、他人が決めた借り物の目標や、辛い現実への反動で決めてはいけません。
例えば、以下のようなものはダメということですね。
- 有名な人がおすすめしていたから目標にする
- 上司に言われたことを目標にする
- お金がないからお金持ちになるのを目標にする
なぜダメなのかというと、目標達成には時間がかかるからです。
自分にとって本物の欲求でないと、途中で挫折してしまいます。
せっかく人生の貴重な時間を使うのですから、途中でやめてしまってはもったいないですよね。
なので、自分が心から情熱を傾けているものや、喜びを感じるものを思い返して、目標の源泉としましょう。
根っこの部分がしっかりしていると、目標達成に時間がかかっても頑張ることができますよ。
「そんなこと言われても、情熱を持ってやっていることなんて無いよ」
「趣味とか無いし、どうしたらいいの?」
そんな方には、著者のライダー・キャロルさんの言葉がヒントになるかもしれません。
「人生をほんの少しより良くするためにできる、ささやかなことはなんだろう?」
『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』ライダー・キャロル、栗木さつき訳、ダイヤモンド社 (p.245より)
大きな目標ではなくても良いのです。
「毎朝少し早起きして朝活をする」でも良いですし、週に1回は運動する、みたいなものでも構いません。
「自分の人生をほんの少し良くするには何をしたら良いのか?」という観点で考えてみれば、目標も立てやすくなるのではないでしょうか。
どんなに小さなことでも、実際にやってみることが大切です。
「できない」言い訳を考えて「やらない」という決断を下すことはできます。
しかし、それよりも「できる」ことや「できる」理由を探して、実際に「やる」という決断を下すことが大事なのです。
私も「できない」理由ではなく、「できる」理由を探して、毎日小さな行動を続けていこうと思いました。
人生でぶつかる問題との向き合い方
本書を読んでいて感じたことですが、ライダー・キャロルさんの思想は老子や荘子の思想に近いものがあります。
いわゆる、マインドフルネスの思想とかですね。
そんなライダー・キャロルさんがおすすめする問題解決法は、「問題を紙に書き出して、自分にコントロールできるものとコントロールできないものに区別する」というものです。
コントロールできないものは手放すべし、ということですね。
コントロールできるかどうかの基準は、「結果」よりも「プロセス」を重視しているかどうかです。
「結果」には運の要素も絡んできますが、「プロセス」は自身の行動なので、自分の意思でコントロールすることができます。
自分がやるかどうかだけです。
例えば、以下の例をご覧ください。
どちらも「ダイエット」をテーマにした目標ですが、目標設定の仕方が異なります。
悪い例の方は「10kg痩せる」という結果を目標に上げていますが、良い例の方は行動を目標にしています。
「10kg痩せる」という目標の方が一見すると分かりやすいように思えるのですが、その人の体質や生活環境に応じて痩せやすさは変わってくるので、実際に10kg減量できるかは分かりません。
ですが、運動の時間を取るだけなら自分でコントロールすることができます。
この「自分でコントロールできる」という感覚を自己効力感といいますが、自己効力感が高いとモチベーションもアップするので、人生を前向きに生きることができるのです。
自分がコントロールできる目標を立てて、日々を前向きに生きていきたいですね。
感じたこと・考えたこと
バレットジャーナルについての本ではありましたが、内容はとても深かったです。
ノートの取り方に始まり、人生をより良く生きるための方法・心構えなどについても言及されていました。
要所要所で挿入されている図もとても分かりやすかったです。
一つ一つは他のビジネス書でも見かけたことがあるかもしれませんが、それらをバレットジャーナルというシステムにうまく絡めているところが素晴らしいと思いました。
バレットジャーナルでノートを取らない場合でも一読をおすすめしたい名著です。
まとめ
本書はバレットジャーナルだけではなく、ノートを起点に、人生を上手に管理するための方法を提示してくれる良書でした。
紙とペンだけでこれほどのことができるのかと、読み終わったあとに感動しています。
読み終わったあと、思わず近くのロフトに行って文房具をゲットしてきたほどです。
「メモはデジタル派」という人にとっても、ノートの取り方や振り返りの手法などは参考になると思います。
生産性向上ツールが溢れる昨今ですが、あえてアナログなノート術で人生を前向きに生きていくのも、なかなか乙なものではないでしょうか。