この記事は『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』についての書評です。
『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』は、心理学者の内藤誼人さんの著書。
2022年に明日香出版社から出版されました。
エビデンスが多く、文字も比較的大きめで、全体的に読みやすい良書です。
- 周囲を気にしがちな自分を何とかしたいと思っているHSP気質の方
- 他人の評価を気にしないで生きたいと思っている繊細さん
- 心が疲れ切っていて、文字多めの本を読むのが辛い方
本記事が、良書との素敵な出会いのきっかけになれば幸いです。
本の簡単な紹介
本書は、立正大学客員教授を務めている心理学者、内藤誼人さんの本。
周囲を気にして疲れてしまう人に向けて、余計な気疲れが減るヒントを61個紹介しています。
1つのヒントが4ページで構成されており、項目ごとに把握できて読みやすいです。
この本を読んだ理由
私自身が内向型でHSPの気質を持っており、普段から気疲れがひどいため、周りを気にしないで過ごせるヒントが欲しかったからです。
普段から周囲の顔色を伺って自分の気持ちを我慢したり、相手のちょっとした言葉でモヤモヤしたりして疲れることが多いのですが、今思い返すと、このときは特に酷かったなと思います。
仕事のプロジェクトが炎上していたことと、上司からのモラハラが酷かったことが原因ですね。
心が疲れすぎてて普通の新書や小説を読む気力もなかったのですが、それでも何とか現状を変えるヒントが欲しいと思い、奇跡的に定時で上がれた日に本屋に寄りました。
その際に、ふと目に入ったのが本書です。
淡い水色の表紙と、帯の「いちいち反応しない。考えない」という文句が気になって手に取ってみたところ、文字も大きめで余白も十分取られていたので、「これなら読めそう!」と思いました。
印象に残った箇所
第4章の内容が、個人的には一番参考になりました。
特に、「自分の心理状態をポジティブにする3つの方法」については学びが深かったので、少しご紹介しますね。
自分の心理状態をポジティブにする3つの方法
笑顔を作る
アムステルダム大学のフィリップ・フィリッペンの研究結果によると、笑顔を作ると感情もポジティブになり、疲れも感じにくくなるそうです。
人は楽しいから笑顔になるのではなく、笑顔になるから楽しい気持ちになるという話も聞きました。
笑顔を作るだけなら、家でいつでもできるので、お手軽ですよね。
明るい声を出す
パリ第6大学のジョン・オクチュリエの研究結果によると、感情は自分の声にも影響を受けるそうです。
そのため、いつもより少し高めの明るい声を出すと幸せな気持ちになれるとのこと。
バスケ部だったころ、試合中に緊張したら積極的に声を出すようにしていたのですが、あれも感情に影響を与えるという意味では、ある意味で同じようなことだったのかもしれません。
強そうなポーズをとる
強そうなポーズのことを、心理学では「パワーポーズ」と言います。
テキサスA&M大学のケイティ・ガリソンの実験結果で、「パワーポーズ」をとると心も強くなることが明らかとなっています。
タフになる、強気になる、と言えば良いでしょうか。
とにかく、マッスルポーズでも、ガッツボーズでも、強そうなポーズなら何でも良いのですが、著者のおすすめはマフィアのボスのようなポーズだそうです。
ポイントは以下の2点。
歩く時は堂々と肩で風を切るようにし、座るときにはピシッと背筋を伸ばす、ということですね。
龍が如くとか、海外のマフィア映画を思い返すと、確かに強そうですよね!
感じたこと・考えたこと
他の自己啓発書で読んだことのある内容も多かったものの、各項目にはエビデンスとなる研究の内容が必ず記載されていたため、納得感を持って読むことができました。
1項目が4ページで構成されているので、心が疲れているときでも読みやすいのが、特に良かったです。
また、各項目が目的ごとに細かく分かれているので、自分の気になる箇所からつまみ食いできるのも良いポイント。
自分の体調に合わせて、必要なところを少しずつ読み進めていくことができます。
対象読者に合わせて、本の全体の構成や配色、表紙のデザインなども考えられているのだなと感心しました。
まとめ
本書は、周りを気にしがちな人にとって、役に立つヒントが多い本でした。
最近の本の中には、全体的な内容は良いものの、肝心のエビデンスが弱い本も多いと感じています。
ですが、本書は多彩な研究結果をもとに医学的な見地からヒントを提示していて、信頼性が担保されているところが良かったです。
一点、筆者の歯に衣着せぬ物言いは好みが分かれるところかもしれませんが、全体的に納得感の多い内容だったと思います。
サクッと読める内容なので、周りを気にしないで過ごすためのヒントが欲しい方は、ぜひ一度手に取ってみてはいかがでしょうか?